就業規則の重要項目(9)~「採用-不当差別規定がないか確認する」~

就業規則の整備から社会保険手続き、給与計算、助成金申請まで。札幌市・石狩市・当別町を中心に、地域の中小企業・個人事業主の皆さまの労務課題を、社会保険労務士がまとめてサポートいたします。

今回は「採用」の2回目として、不当な差別規定になっていないかどうかを考えてみます。

採用選考には、法律による特別な制限がある

採用は会社の自由が原則ですが、以下のような法律により、その自由は大きく制限されています。

  • 男女差別の禁止(男女雇用機会均等法第5条)
  • 障害者差別の禁止(障害者雇用促進法第34条)
  • 年齢差別の禁止(労働施策総合推進法第9条、旧・雇用対策法第10条)
  • 組合差別の禁止(労働組合法第7条第1号)

いずれも「知らなかった」では済まされない、採用選考における基本ルールです。

気づかないうちに違反しやすい「間接差別」

とくに見落とされがちなのが、男女雇用機会均等法が禁止する「間接差別」です。

合理的な理由がないにもかかわらず、採用にあたって

  • 身長・体重・体力を要件とすること
  • 転居を伴う配置転換に応じられることを要件とすること

は、性別を直接の条件にしていなくても、実質的に男女のどちらかに不利益を与える「間接差別」として違法になります(男女雇用機会均等法第7条、男女雇用機会均等法施行規則第2条第1号・第2号)。

「力仕事だから体力基準を設けた」「転勤前提の総合職だから」といった理由だけで設けている条件が、実は間接差別に該当しているケースは少なくありません。

公正な採用選考の基本(厚生労働省の考え方)

厚生労働省は、公正な採用選考の基本的な考え方として、次の2点を挙げています。

  1. 応募者の基本的人権を尊重すること
  2. 応募者の適性・能力のみを基準として採用選考を行うこと

これを実現するための具体的なポイントが、以下の2つです。

応募者に広く門戸を開くこと

雇用条件・採用基準に合った人であれば、誰でも応募できる状態にしておくことです。

適性・能力以外を採用条件にしないこと

応募者が持つ適性・能力が、求人職種の職務を遂行できるかどうかだけを基準に選考することです。

就職の機会均等とは、「誰もが自分の適性・能力に応じて自由に職業を選べること」を意味します。

これを実現するためには、採用する側が公正な選考を行うことが欠かせません。

(次回へ続く)

就業規則の作成・見直し、労働基準監督署への届出でお困りの際は、お気軽にご相談ください。


参考:
・厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000839060.pdf)
・e-Gov法令検索「障害者の雇用の促進等に関する法律」第34条(https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000123)
・厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/topics/tp070831-1.html)
・厚生労働省「公正な採用選考の基本」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html)


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社会保険労務士なかじま事務所
代表 中嶋 一徳

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