就業規則の整備から社会保険手続き、給与計算、助成金申請まで。 札幌市・石狩市・当別町を中心に、地域の中小企業・個人事業主の労務課題を、社会保険労務士がワンストップで解決のお手伝いをいたします。
今回は「就業規則(3)」です。
前回まで就業規則の基本的な考え方を解説してきました。
今回は労働基準監督署への届出義務と、規則の制定・改正時に使える実務テクニックをご紹介します。
「就業規則はいつ届け出るべきか」
「改正の履歴をどう残せばよいか」
とお悩みの経営者・総務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
1. 労働基準監督署への届け出義務
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政庁(所轄の労働基準監督署長)へ届け出なければなりません(労働基準法第89条)。
この「常時10人以上」には、正社員だけでなくパート・アルバイトなど雇用形態を問わず、常態として使用している労働者の数を含めます。ただし、「繁忙期だけ一時的に10人を超える」といったケースは該当しません。
届出を怠った場合のリスク
届出義務に違反した場合、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科される可能性があります。
罰則自体よりも、労働基準監督署の調査(臨検)で未届けが発覚し、他の労務管理上の不備まで芋づる式に指摘されるケースが実務上は多く見られます。就業規則は「作って終わり」ではなく、「届け出て初めて完成」とお考えください。
10人未満の企業にも作成をおすすめする理由
労働基準法上、常時10人未満の事業場には作成・届出義務はありません。しかし、次のような理由から、10人未満の企業様にも就業規則の整備を強くおすすめしています。
- 労務トラブル(解雇、懲戒、休職など)が発生した際、ルールが明文化されていないと会社側が不利になりやすい
- 各種助成金の申請要件として、就業規則の整備・届出が求められることが多い
- 労働条件を明確にすることで、採用時のミスマッチや早期離職の防止につながる
2. 規則制定・改正時に使える実務テクニック
続いて、就業規則を作成・改正する際に知っておくと便利な、条文の書き方のコツをご紹介します。
2-1. 制定日・改正日を明記する
題名(例:〇〇株式会社社員就業規則)と本則第1条の間に、制定年月日と改正年月日を入れておくと、その規則がいつ作られ、いつ改正されてきたのかが一目で分かるようになります。改正を重ねるほど、この記載の有無が「どのバージョンが最新か」を判断する重要な手がかりになります。
【例1】制定及び改正の場合
○○株式会社 社員就業規則
制定:平成〇〇年〇月〇日
改正:令和〇〇年〇月〇日
(目的)
第1条 この就業規則は、・・・を定めるものである。
(以下省略)
2-2. 施行日を附則に明記する
制定時の施行日は「制定附則」に、改正時の施行日は「改正附則」に、それぞれ規定しておくと分かりやすくなります。制定日・改正日(条文を作った日)と施行日(実際に効力が生じる日)は別物ですので、この2つを混同しないよう、附則で明確に区分しておくことが実務上のポイントです。
【例2】施行期日の記載
附 則
(施行期日)
1 この規則は、令和〇〇年〇月〇日から施行する。
3. まとめ
- 常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則の作成・届出が法律上の義務(違反時は30万円以下の罰金)
- 10人未満の事業場でも、労務トラブル予防や助成金申請のために作成をおすすめ
- 制定日・改正日・施行日を条文と分けて明記しておくと、後々の管理が格段に楽になる
就業規則は一度作って終わりではなく、法改正や実態の変化に合わせて見直し続けるものです。
「うちの就業規則、何年も更新していない」「そもそも届け出たかどうか分からない」という方は、一度社労士などの専門家によるチェックを受けることをおすすめします。
就業規則の作成・見直しや労働基準監督署への届出でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
札幌市・石狩市・当別町の企業社労士パートナー
社会保険労務士なかじま事務所
代表 中嶋 一徳
