就業規則の重要項目(1)~なぜ就業規則が労務管理の根幹なのか~

就業規則(1)

就業規則の整備から社会保険手続き、給与計算、助成金申請まで。 札幌市・石狩市・当別町を中心に、地域の中小企業・個人事業主の労務課題を、国家資格を持つ専門家がワンストップで解決します。

「就業規則は作らないといけないと聞くけれど、そもそも何のためにあるのか分からない」という経営者の方も多いのではないでしょうか。

今回は就業規則シリーズの第1回として「就業規則が労働契約においてどのような法的効力を持つのか」、その基本を分かりやすく解説します。


1. 就業規則は労務管理の根幹

就業規則は、会社経営における労務管理の根幹です。単なる社内ルールの一覧ではなく、労働契約法上、労働条件そのものを決定づける重要な法的文書としての意味を持っています。

1-1. 労働契約法第7条:周知された就業規則は労働条件になる

労働契約法第7条本文は、次のように定めています。

労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。

つまり、会社が「内容が合理的な就業規則」を作成し、それを従業員がいつでも確認できる状態(周知)にしていれば、給与や労働時間といった具体的な労働条件は、その就業規則に書かれている通りになる、ということです。

1-2. 労働契約法第10条:変更するときは周知と合理性が必要

労働契約法第10条本文は、就業規則の変更による労働条件の変更について、次のように定めています。

使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

会社が後から就業規則を書き換えて労働条件を変更する場合、次の2つをどちらも満たしていれば、変更後のルールが有効になります。

  • 変更後の就業規則を従業員にきちんと周知していること
  • 従業員の不利益の程度、変更の必要性、内容の相当性、労働組合等との交渉状況などを総合的に見て、「合理性」があると認められること

逆に言えば、この2つが欠けている変更は、従業員の同意なく一方的に不利益変更を行ったとして、無効と判断されるリスクがあります。

2. トラブルになったとき、「就業規則」がすべての基準になる

労働契約の内容について会社と従業員の認識が食い違い、最終的に裁判などのトラブルに発展した場合、基本的にはこの就業規則に書かれている内容が最優先で適用されます。「言った・言わない」の水掛け論になりやすい労働条件の争いにおいて、就業規則は会社・従業員の双方にとって拠り所となる、いわば「最強のルールブック」です。

裏を返せば、就業規則の内容が曖昧だったり、周知が不十分だったりすると、いざというときに会社を守ってくれるはずのルールブックが機能しません。作成・周知・改正のすべての段階を適切に行っておくことが重要です。

3. まとめ

  1. 周知された合理的な就業規則は、そのまま労働条件になる(労契法7条)
  2. 変更時は「周知」と「合理性」の両方が必要(労契法10条)
  3. トラブル時は就業規則の内容が最優先で適用される

このようなことから、就業規則を考えるうえで役立つ重要項目を、これから不定期でコラムとして書いていきます。ぜひ読んでいただき、御社の労務管理にお役立てください。

次回は、就業規則を制定するにあたっての基本の「キ」、総則(労働組合または過半数代表者への意見聴取)について解説します。


就業規則の作成・見直しや労働基準監督署への届出でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

札幌市・石狩市・当別町の企業社労士パートナー
社会保険労務士なかじま事務所
代表 中嶋 一徳

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